旅エッセイシリーズ

(旅エッセイ)開拓の土地にて自分のルーツを探る旅⑩「生きるとはなにか」

卯月三日。雷乃発声(らいすなわちこえをはっす) 春の雨は美しい。 家の前に咲く椿の葉にしたたる雨粒を眺めると、心が慰められる。 涙とは、心の雨のようだ。 ある時は雷を伴う激しい雨となり、ある時はやわらかく静かなものとなろう。 鷲田先生の本の冒頭…

(旅エッセイ)開拓の土地にて自分のルーツを探る旅⑨「イランとわたし①」

⑨ー1:出会ってきた偶然を拾い集めれば「道」となる 私という生き物は、これまでのたくさんの出会いを通して作られている。 なかでも印象的なのは中東との出会いであろうか。 「社会を変えたい」・「時代に合った、皆が生きやすい社会をつくりたい」 そんな…

(旅エッセイ)開拓の土地にて自分のルーツを探る旅⑧「女とは何かを考えるー祖父と私ー」

⑧ー1:学問的視点から見る日本 「女とは、なんだろうか」 「女に生まれてよかったのだろうか」 「女に生まれなければよかったのだろうか」 そんな疑問を、今思えば幼少期からずっと抱き続けていた。 これは日本のように男性優位の社会に生きる女性が感じや…

(旅エッセイ)開拓の土地にて自分のルーツを探る旅⑦「田舎にて、三方良しを学ぶ」

弥生四日。草木萌動。 30代になってようやく飲めるようになったカフェラテを片手に、鷲田先生の『大事なものは見えにくい』という本を読んでいる。 幼少期はあんなに嫌いだった勉強が、「考える喜び」を知った今楽しくて仕方がない。 カウンセリングを通し…

(旅エッセイ)開拓の土地にて自分のルーツを探る旅⑥雨靄(あまもや)の中、春を想い泣く。

如月二十五日。霞始靆(かすみはじめてたなびく)。 運命とさだめのなんたるかを深く考えさせられた北国での日々を思い返しつつ、私は広島に来ている。「平和の重さ」とは何かを35歳の自分に叩き込むためである。明日は呉へ向かう。 昨晩は西成を少し歩き…

(旅エッセイ)開拓の土地にて自分のルーツを探る旅⑤「懐に剣を忍ばせ今を生きる」

睦月二十一日。方向音痴の私は、薄野の雪道をさまよいながら一軒のお店に辿り着く。潰したくない才能が1人待つこの日は、実に運命の日であったと思う。「役員になれ」と言われ続けた自分が、生まれて初めて誰かに「役員を目指せ」と伝えた日だった。 一体ど…

(旅エッセイ)開拓の土地にて自分のルーツを探る旅④「雪風を感じ、光と影を想う」

雪国の風を感じながら、母と話す。久方ぶりの母の声。一番娘を知る母の声。娘の志を普通だと母は笑う。姉弟揃って総理大臣を目指すなんて、バカだねと優しく笑う。変な日本語を使うなと叱られもした。私は嬉しい。電話口には、本来の姿をした器の大きな母が…

(旅エッセイ)開拓の土地にて自分のルーツを探る旅③「風林火山を感じ今を生きる」

睦月二十三日、款冬華。 瑞雪を踏みしめながら、早朝の狸小路を歩く。ホテルのある7丁目からまっすぐ二条市場へ進み、しばらく歩けば北海道神宮頓宮が見えてくる。 雪に濡れる狛犬の眼は優しい。誰もいない境内で、私は何度も何度も神に土下座する。降り積…

(旅エッセイ)開拓の土地にて自分のルーツを探る旅②「杜甫を読み、孔子を思ふ」

北見の地にて、美しい神社に出会う。静けさはあれど寂しさを感じさせぬ不思議な街で、黒松のような人と祈りを捧げる。 駅のバス停にて、「北光」という美しい地名を見つけて想いを馳せる。どんな光であろうか。きっと後光よりも美しく柔らかい希望に満ちた光…

(旅エッセイ)開拓の土地にて自分のルーツを探る旅①「当たり前」という幻を想う。

令和も6年になり、思い立って北海道へ来ている。さらに自分を受け入れるために、そして潰されそうな才能を守るために。 あんなに懐かしかった札幌駅に着いた時、怖くて前を向いて歩けなかった。本能でこれから受け入れるべき運命が分かるからであろう。 天…

ひゃ~!エッセイ、第一段書き終わりました~!!(心理学用語のプチ解説含む)

皆さん、おはようございます~!心理カウンセラーの東(あずま)ゆうです!寒すぎて目が覚めてこのブログを書いております。皆さん、凍えていませんか?? さてさて、突然旅の途中で覚醒してエッセイを書き上げていたわけですが・・いや~、自分が本当に情熱…

(旅エッセイ)天命を知り受け入れる旅 最終章「私の志」

毛越寺は浄土庭園を見ながら歩いていると、ふと何かが降りるような感覚があり、私は自然に自分がこれから成すべきことを受け入れた。初めてここに来た入社式の時のような胸の熱さはもうない。静かに揺れる水面のようであり奥底にマグマを感じるような、そん…

(旅エッセイ)天命を知り受け入れる旅⑦「生きるうえでの自分の役目を知る」

千葉に行く前に上野でモネ展を見に行った。「本物をとにかく見ろ」と学生の頃祖父に言われて器や絵をとにかく見て回って10数年、いつしか私は印象派の絵を通して今の自分に気付けるようになっていた。上野という芸術が集まる街の力は凄い。いつもより感性…

(旅エッセイ)天命を知り受け入れる旅⑥「師匠と私(花に学ぶ)」

大阪へ戻ってもう2日が経ったというのに、何だか使命感に駆られてこのエッセイを書いている。普段ばらばらになりやすい頭と心が繋がった時の爆発力は恐ろしい。両方が早く書けと訴えてくるから、どんなに書いても疲れず言葉が湧いてくる。私はたぶん、今発…

(旅エッセイ)天命を知り受け入れる旅⑤「私が持つ、たったひとつの強み」

仙台の街を歩いていると、街中に大きなドン・キホーテが見える。叶うなら、一度ドン・キホーテの創業者に会ってみたい。子供心を今も持つ人だろうか。私の視点で見ると、スーパーと宝箱から着想を得たように感じる。決して綺麗に整頓されているとは言い難い…

(旅エッセイ)天命を知り受け入れる旅④「山形県 山寺にて悟り覚醒する」

原点回帰と称して始めた5泊6日の旅の最終日は、朝から友人と山形県にあるお寺ー通称『山寺』と呼ばれる宝珠山 立石寺へ行った。その後に宮城へ戻り松島にも行ったけれど、山寺との出会いがあまりに強烈で霞んでしまった。とっても怖い場所だった。自分の心…

(旅エッセイ)天命を知り受け入れる旅③「強烈なテーマを放つ土地との出会い」

今日は旅の最終日。これからとある友人と山形にある山寺と宮城の松島へ行き関西へ戻る。昨晩牛タンを囲みながら話していたら、もうすぐ50代になるというので驚いた。世の中にはたくさんの才能が溢れているけれど、その中でも突出していると特に孤独を感じ…

(旅エッセイ)天命を知り受け入れる旅② 私の交友関係

2023年12月15日、千葉の友人宅で17時すぎからずっと話続けていた。22時すぎになった頃、私に会いたいと友人の友人が参戦。友人が50代なのだからきっとその友人である彼女も同年代だろうか。いや、何歳でも構わない。 年々友人や知人の年齢層が…

(旅エッセイ)天命を知り受け入れる旅① 旅の始まり

私たちの身の回りには、自分らしく生きるヒントが溢れている。色んな人や物を通してヒントを知る中で、どうやら私は、ヒント達を旅を通して深めて統合し「自分らしい生き方」に昇華しているらしいことに気付いた。無性に書きたくなってしまい、今日から旅エ…